今回は小6の入試前に学校選定に入るかと思いますが、まだ迷っている、決めきれない、もしくはある学校の合否でその後の受験校を変更したいなどそれぞれの思いが交錯し始めると思います。
また入試の結果に応じてその当日のAM等に直前出願するケースも実際あります。
今回はW出願と直前出願をテーマに記載します。
加えて、この手を使う場合に午後入試の話も切っては切り離せませんので合わせて記載したいと思います。
中学受験の失敗談について、他の記事をまだ見ていない方は以下も参照お願いします。
W出願とは何か
「W出願」を初めて聞いたという人も中にはいるでしょう。
まず、W出願についての説明及びその手法の検討がされるケースがあるのか、について記載したいと思います。
W出願は同一の入試日に2つの学校を同時に出願することを総称します。
当然ながら一般的に出願費用は1校当たり平均2.5万円程度掛かります。
よって、1日で5万円が飛びます。
普通に考えると「なんで、同じ日に2校?」と考えるかと思いますが、
ど定番としては2/3校という同じ日に”チャレンジ校”と”安全校”の2つの学校を出願するケースがあります。
2/1の入試の結果は2/2の午前ないし、午後に発表される場合が多いですのでその結果、いわゆる合否をみて2/3の受験する学校を最終決定するという手法となります。
*例としては、2/1に開成中学だと2/3に合否発表があるのでそこをあえて外して、
2/2午前に合否発表がある駒場東邦を受験し、合格の場合、2/3を筑波大学附属駒場、
不合格の場合、浅野中学、海城中学、慶応中等部のいずれかという形で出願するケースがポピュラーです。
ちなみに昨今、にわかに増えているのが2/1の当日の19時ないし、22時に合否がインターネット発表される学校があり、その結果をみて翌日の2/2のチャレンジ校と相応校ないし安全校にスイッチするパターンです。
従来の2/1の結果を2/2に見て2/3で分岐するスタイルは超難関校でないと活用する必要がなかったのですが、
2/1当日に合否が出ると貴重な2/2も選択バリエーションが増えますし、それはチャンスが増えることも意味します。
この手法が取れると中堅以下の学校で右往左往しているお子さんの場合、合格切符を握りながら、チャレンジも出来たりするので非常に魅力的な方法かと思います。
但し、当日に結果が出るという魅力も合間ってそういう学校は得てして倍率がそれなりに高まるので注意は必要になってきます。
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直前出願とは何か
直前出願とは、受験当日に出願を出すことを総称します。
主に2/1の合否が2/2午前に判明した場合に2/2当日の午後に受験出願できる学校があり、そこに飛び込むような手法をいいます。
直前出願はインターネット出願と当日の午前中までに手続きを学校まで出向いてするパターンがありますので全てがインターネットで出来ると思うとOutとなりますので注意が必要です。
また翌日の行動パターンが当日深夜に変更することにもなるので子供自身の精神的負担も発生しますのでケアの仕方/進め方もセンシティブとなります。
午後入試について
最近、特に午後入試が盛んです。
皆、中学受験生のスタンダードは午前中にその日の本命となるメインの学校を受けることになりますが、午後で1教科ないし2教科の受験を実施し、安全校を押さえておきたい心があります。
また学校側も午前に本命校を受験している優秀な生徒を午後入試で囲いたいという思惑も発生します。
つまり、この午後入試はお互いの利害が一致して活性化しているような状況です。
最近、特に「算数選抜」が大流行。
中学受験生のご家庭からすると1教科という負担の少ない受験という魅力と学校側では優秀な子供は例外なく算数が出来るという過去のデータからそこをズバリ引っこ抜く最良の手段ということでこれまた利害一致となっています。
恐らく、今後も算数選抜の学校は増えていくものと考えます。
ちなみに主な午後入試で算数選抜の学校を以下に記載します。
区分 | 受験日 | 算数選抜 | 偏差値目安 (日能研基準) | 通常の偏差値目安 (日能研基準) | 増加の偏差値 (難度Up数値) | 備考 |
男子校 | 2/1 | 鎌倉学園 | 65 | 55 | +10 | 時間優遇、午後7時までなら何時でも可 |
男子校 | 2/1 | 巣鴨 | 60 | 53 | +7 | |
男子校 | 2/1 | 世田谷学園 | 60 | 51 | +9 | |
男子校 | 2/2 | 高輪 | 60 | 49 | +11 | |
女子校 | 2/1 | 普連土 | 57 | 51 | +6 | |
女子校 | 2/1 | 品川女子 | 57 | 48 | +9 | |
女子校 | 2/1 | 田園調布 | 54 | 49 | +5 | |
女子校 | 2/2 | 富士見 | 53 | 48 | +5 | |
共学 | 2/1 | 三田国際 | 57 | 54 | +3 | |
共学 | 2/1 | 東京都市大学付属等々力 | 54 | 49 | +5 |
午後入試の算数選抜の表を見て頂くと分かるのですが、以下の特長になっています。
- 算数選抜(1教科)は2/1校ばかり
- 偏差値帯として難易度が高い
(ここには記載してませんが、実質倍率も高い)
個人的には特に2/2、3、4で算数選抜が増えるとかなり利用者が増えるように思います。
また、もっと偏差値が低い学校で算数選抜を実施することで入試の門戸が広がるようにも感じます。
W出願/直前出願にて子供がそわそわしていた
W出願は前日までどちらを受けるのか分からないという特性があります。
一方で、子供自身も既に小6にもなると自我がきちんとあるのでどんな結果であれ、受験したい学校を受けたいとか、色々な思いが巡ります。
保護者次第なところも往々にしてあるのですが、まず、きちんと子供に作戦を伝えて、子供自身もそれを理解し、入試に挑むことが大事だと思います。
第一希望と安全校でW出願する場合、最悪、第一希望校へ受験すら出来ない場合があります。
我が家の知人の子供は2/1に芝中学、2/2に鎌倉学園を受け、どちらかを押さえて、2/3の浅野中学に挑むという予定でした。
但し、ここで悲劇が起こります。
芝中学が親御さんからしたら、まさかの不合格。そして押さえるべき鎌倉学園も2/2当日の19時に不合格になっていることが発覚。
ここでそのまま浅野中学に突っ込むことは危険と保護者が判断し、その日の夜に別のある学校を直前出願。
但し、子供にとっては青天の霹靂です。
そもそもその学校を受験する気などありませんでした。
とはいえ、親に諭され、嫌々ながら、翌日、その直前出願した学校に受験し、合格しましたが、本人はずっと浅野中学を目指して勉強していたので非常に子供として不満足という状況になりました。
ちなみに最終的にはなんとか2/4に鎌倉学園を再受験し、合格となり、そこに通える形に落ち着けたのですが、
その子供としては上記3校のいずれか以外は全く行く気がなかったとのことでメンタル的にも非常にナーバスになっていました。
やはり受験前に最悪ダメだった場合は「この学校、受けるよ」と親子で認識を合わせておくことで直前で精神面でもバタつきが少ないと思います。
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午後入試の恐怖
我が家の知人で、2/1AM 麻布中学、PM広尾学園(本科)2/1AM 渋渋 PM広尾学園(医進) 2/3海城、2/4芝と怒涛のチャレンジをしたご家庭がありました。
結果は負担増大で軒並み不合格で2/5に受験した学校でなんとか合格をもぎ取ったという感じで非常に苦難が大きい受験となったようでした。
特に2/1と2/2の広尾学園は4教科受験で、且つ、倍率も高いのでメンタル面、体力面共に相当削れたとのことです。
「まあ、そりゃそうだ」と思うのですが当事者だと見失うものです。
どこか合格出来るだろうという発想でやっていたと思いますが、午後入試は特に倍率高めなので午後でチャレンジしてはいけないと強く思います。
我が家の場合、2/1の午後に鎌倉学園の算数選抜を受験しに行きました。
午前中は都内の学校だったのでかなり遠かったのですが鎌倉学園の場合、事前連絡すれば2/1当日の19時までは受験が出来るということが非常に魅力的だったので受験するに至りました。
なお、事前に実質倍率が高く、御三家に合格している子供も落ちるという評判や実際のサピックスの過去実績からどの偏差値帯でも合格率が50%、つまり半分は不合格になる実績状況も把握していました。
但し、我が家の息子は算数を得意としていたので、そうはいえ、1教科だし、負担も少ないので受験してみよう、になりました。
結論としては不合格で且つ、移動距離もかなりあったのでかなり疲れましたし、帰りは真っ暗だし、
翌日も入試というのを考えると、うーん、受けなきゃ良かったと本人含め我が家ではガチでの作戦ミスと判断しています。
1教科であれ、午前中に4教科を受験済みで移動も含めて考えると時間が少ないです。
鎌倉学園は時間調整が柔軟なので我が家は時間を遅めで実施したにも関わらず、結構、せかせかした感じです。
もし、標準的な午後入試を考えると基本的に15時スタートがほとんどとなります。
午前中にどんなに近くで受験していても13時頃終わることからその時点から移動と昼食をして15時の入試に挑むことになります。
なお、集合時刻としては、その30分前には学校に着くように学校側は案内を事前にしていますので移動込みで1時間半くらいしかないのです。
相当疲れますよ。
以前、以下の通り、受験日程における虎の巻シリーズでも記載しましたが、午後入試に参戦する場合は、体力面とメンタル面の両面で疲れますので、出来る限り、勝てる勝負で臨んだ方が良いです。
- 受験日程における虎の巻 ~1月編~
- 受験日程における虎の巻 〜2月1日編〜
- 受験日程における虎の巻 〜2月2日編〜
- 受験日程における虎の巻 〜2月3日編〜
- 受験日程における虎の巻 ~2月4日(5日含む)編~
- 受験日程における虎の巻 ~2月3連戦の保護者(天国と地獄)編~
- 受験日程における虎の巻 ~2月4日以降の保護者(闇と暗黒の世界)編~
したがって、午後入試がチャレンジだあ〜というのはやめた方が良いです。
なぜなら、午後入試は基本的に”押さえ”で駆け込んで来る人がほとんどであり、午後入試で入学する人は本命のどこかの学校に落ちた人が大多数となっています。
これは午後入試を実施している学校の説明会に出ると必ず話題になります。
学校側として「午後入試にて多くの方に合格を出しますがほとんどの方が入学されません」という説明がなされます。
よって、もし、午後入試をチャレンジで突っ込むという場合は、ドラゴンボールでいうとスーパーサイヤ人が集まる戦いで天津飯やヤムチャがその戦いに参戦するようなものです。時間が勿体無いので体を休ませましょう。
午後入試でチャレンジするくらいなら、本来は翌日の午前の入試を確実に捉えた方が良いです。
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祖父母も巻き込んで総動員でおろおろ。。。
直前出願で時折あるのが午前中の発表を見て、すぐ午後の学校の出願を実施する場合です。
これをやるには2/2で特に2チームに別れて対応する必要が出てきます。
具体的には2/1にどこかの学校を受験した場合、翌日、朝にAチームは子供と一緒に2/2校の午前中に受ける学校へ一緒に入試の付き添いで動きます。
Bチームは2/1入試の結果を見に行く、ないし、スマホで見れるように朝、スタンバイし、その合否発表で不合格となった場合に2/2午後の出願手続きを並行して実施します。
実際に高輪(算数選抜)の場合、2/2午前中に出願を行えば、当日の午後入試が可能ですが学校に出向いて手続きを行う必要があります。よって、2/1の入試結果を見て、駆け込むパターンが発生します。
父親が仕事等で動けない、といった場合、母親のみだと将棋でいうと余裕で”詰み”ます。
我が家の知人のご家庭は、祖父母を動員して、手分けして場合によって午後入試の手続きを踏むご家庭もありました。
が、お爺ちゃん達も中学受験のお作法は不慣れなので、おろおろして、たびたび受験付き添いしている母親側に電話で指示を仰ぐといった感じ。
うーん、最近のお爺ちゃんも大変ですね。。。
事前に受験における戦略を決めて挑まないと手数が足らなくなる場合もあるので注意した方が良いです。
W出願や直前出願は、子供や家族とのチームプレイで上手く進めて行きましょう。
それをする事で入試というパズルを上手に組み立てて、より上位の学校への入学切符を掴む可能性を高く出来ます。
このパズルの組み立て方はそのご家庭の戦略に依存します。
更にそのパズルを構成するのに大事なピースがW出願や直前出願になる為、よく理解して入試候補の学校群を選定しましょう。
日頃のテストの状況も加味して、志望校の見定めも大事です!
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メイン塾の補助的な位置付けで総復習/補強の為に
最後に本記事とは直接関係ない宣伝となりますが、現在、中学受験真っ只中の方向けの話です。
日々、塾の勉強をしていく中で不明点があったり、弱い分野というものがあると思います。
先生にも聞けない照れ屋な子供もたくさんいます。
そんな時に自宅で解らない科目・分野別に動画で復習を手軽に出来る手段があります。
それがスタディ・サプリです。
スタディサプリについて我が家は主にメイン塾の補助的な位置付けで特にコロナ禍での自宅学習時によく活用しました。
更に小・中・高のコンテンツが全て見れるのも凄いです!
こちらに何が凄いのかの特集記事も書いてます!ぜひ、ご検討を!
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